今回は、円筒容器の内圧による破断は長手方向で起きる理由を解説します。
この記事を見れば、円筒の長手方向は周方向の2倍の強度が必要なわけを理解できると思います。
円筒の内圧による破断は長手方向で起きる理由!
前提条件として、今回考える容器は薄肉円筒とします。
図1は、両端を密閉した薄肉円筒で、次の条件とします。
t/D <<1 で 内圧Pが作用
ここで、内筒の長さℓについて考えると
銅板を長手断面BーBに沿って裂けようとする外力 : F1=P×D×ℓ F1に抵抗して材料内に発生する周方向力 : F2=2×t×ℓ×σc (σc:周方向応力)
F1=F2であることより
P×D×ℓ=2×t×ℓ×σc
※P=2×σc×t /D ……①
次に、円筒の横断面について考えると
横断面A-Aに作用する外力:F3=π /4×D2 ×P 横断面A-Aに生じる軸方向力:F4=π×D×t×σn (σn:軸方向応力)
F3=F4であることより
π /4×D2×P=π×D×t×σn
※P=4×σn×t /D ……②
①式と②式より
σn=σc/2 ……③
③式より、円筒の周方向に働く応力の大きさは、長手方向に働く応力の1/2であることがわかります。
言い方を変えると、長手方向は周方向の2倍の強度が必要ということです。
そのため、もし円筒が内圧のために破断するときは、必ずその破断は長手方向に沿って起きることになります。
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