この記事では、化粧品を「浸透させる」と危険な理由、そして浸透させる必要はない理由を医学的な観点から紹介しています。
簡単に浸透したら大変
化粧水などのスキンケア商品は、「肌に浸透させるのが良い」と思われています。
でも皮膚科学の観点から説明させてください。
人間の皮膚は「たんぱく質」でできています。
もし、たんぱく質がむき出しのままの状態だったら、異物を弾くことはできません。
何かがちょっと触れただけでも付着し、さまざまなものが「浸透」します。
こちらの記事でもお話ししましたが、肉や魚の切り身を料理する場合、短い時間で下味がつくのは、バリア機能がないからです。
人間も同じ肉や魚と同じタンパク質でできています。
外部と接触している肌の表面は、皮脂腺から出る「皮脂」という天然の油によって、ベールのようにそっと覆われています。
そのベールが、外部から直接異物が入り込まないように生命を守っているわけです。

シャワーを浴びたときに、皮脂によってパチっと水が弾かれて、まるい水滴ができるのが健康な肌。
そして皮脂の膜が体内の水分の蒸発を防いでくれているおかげで、健康な肌はいつもみずみずしくいられるのです。
もし肌にバリア機能がなければ、入浴しただけで水が体内にどんどん浸透してくることになります。
そんなことが起きたら、生命はいとも簡単に危険にさらされてしまうでしょう。
皮膚のバリア機能は、わたしたちの生命にかかわる大事な役割を果たしてくれているのです。
化粧品を浸透させようとすると、逆効果に、、、
シミの原因にも…
肌に化粧品の成分を浸透させるためには、この大切な皮膚のバリア機能を破らなくてはなりません。
もし、この生命を守っている大切なベールを無理やり破り、化粧品(=異物)が皮膚のなかに浸透すると、からだは「これは大変だ!」と防御反応を起こします。
その防御反応とは、具体的にはこんなことです。
異物をそれ以上深く浸透させないたえに、メラニンを集め、異物が侵入した部分を取り囲みます。
メラニンの集合体でバリケードを張りめぐらせるのです。
これが「シミ」になります。
化粧品を浸透させようとすることで、逆にシミをつくってしまうのです。

乾燥肌の原因にも…
肌表面の自然な皮脂がなくなってバリア機能が弱まってしまうと、水分は蒸発し、老化のいちばんの原因にもなる「乾燥肌」を引き起こします。
化粧品を肌に浸透させるための成分は、水分が蒸発する出口を増やすという現象を引き起こすのです。
そして、その乾燥を補うためにさらに化粧品で蓋をしなければならないというアンバランスな状態を引き起こすのです。
部分オイリー肌の原因にも…

化粧品を使い続けると、乾燥を補うために皮脂の分泌が増え、結果、その箇所が部分的なオイリー肌になることもあります。
つまりオイリー肌なのに肝心の肌は乾燥するというアンバランスな状態を引き起こすのです。
というわけで、化粧品を浸透させる必要はありません。
むしろ浸透させてはいけないのです。
肌に乾燥を感じるなら、もともとの皮脂成分に近いオイルやワセリンで肌の表面に1枚ベールを作ってあげてください。
そうして肌が正常に機能するように保護してあげるのがおすすめです。
そして、もし深刻な肌トラブルを生じたら、治療が必要です。
自分であれこれ化粧品を試さず、医師に相談してください。
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