みなさんは「無添加化粧品」にどんなイメージを持っていますか?
詳しくは分からないけど余計な成分が入っていないから安心・安全なのでは?という印象があるかもしれません。
でも、その印象は正しいとは言い切れません。
この記事では、無添加化粧品=安心・安全ではない理由について紹介していきます。
いったい何が「無添加なのか」
まずは、無添加化粧品がどんなふうに生まれたのかを、簡単にお話ししておきます。
その経緯は、1980年の薬事法改正にさかのぼります。
当時の厚生省が1970年代に起こった化粧品トラブルの症例をもとに、アレルギーや皮膚炎、発がんなどの皮膚障害を起こす可能性がある約100種類の成分を「表示指定成分」と定め、化粧品に明記することを薬事法で義務づけました。
防腐剤、殺虫剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、合成界面活性剤、合成着色料、合成香料などがそうです。
そのため、これらの「表示し指定成分」を含まない化粧品が登場しました。
これが「無添加化粧品」のはじまりです。
実際、当時も多くの女性に支持され、「無添加」は安全・安心の代名詞になりました。
こうした流れで、「無添加」と書いてあれば安心して使えるというイメージが、今でも多くの方に定着しているのかもしれません。
ただ現在は、その後2000年の法律改正で化粧品に含まれるすべての成分が明記されることになったため、「表示指定成分」は廃止され、「全成分表示」が義務となりました。
ですから「無添加化粧品」というのは、30年前に表示が義務化された「旧表示指定成分」が使われていない化粧品を指すことが多いです。

「無添加」という表記に法規制がない
「旧表示指定成分」以外にも無害ではない成分はあります。
また、「無添加」という表記自体には現在、法律の規制がありません。
つまり、各メーカーがそれぞれの判断で、「ある成分を排除している」ことを強調する場合に「無添加」とうたっている、ということになります。
たとえば、合成着色料を排除している商品は「無添加化粧品」をうたうことができます。
しかし、合成着色料が添加されていないだけで、肌に負担をかける他の成分が入っていないとは限らないのです。
どの成分にもリスクはある
そうはいっても、防腐剤などは「無添加」のほうが肌には良いのではと考える方もいるかもしれません。
でも、考え方はシンプルです。
たとえば、スキンケア製品のほとんどは、水と油を乳化させて作られています。
油は酸化しますし、当然においもあります。
腐らせずにある一定期間安定させるためには、防腐剤が必要です。
逆に、防腐剤なしでも保存できるということは、何かしらの別の不自然なものが使われていると考えられます。
特に1980年代に表示成分だったパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベンなどは、いまだに避けるべきものと思い込まれていますが、現在では微生物の増殖を防ぐ安全性の高い防腐剤であることが認められていて、世界中の化粧品に使用されています。
つまり、低刺激で、すぐれた防腐効果を持っている安全性の高い成分なのです。
もちろん、アレルギーなどを起こす可能性がゼロであるとはいえませんが、それはどの成分についても同じこと。
防腐剤だけを悪者扱いする根拠は何もないのです。
というわけで、「無添加」という表現自体には、ほとんど意味がありません。
「○○という成分が配合されていない」という意味でしかないからです。
いったい何が無添加なのかを、しっかり確認する必要があるでしょう。
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